未だ収束が見えない新型肺炎コロナウイルスですが、各地でイベントの中止・延期が発表されています。僕が運営する京都東山ウィズにも宿泊キャンセルが相次いでいます。
そんな中、イベントや旅行の中止に伴って、移動や宿泊のキャンセル料についてtwitter上で情報交換がされており、一部間違っている情報もあったので、ホテル運営の中の人としてキャンセル料やそれが無料になる可能性、方法についてお伝えしたいと思います。
新型肺炎コロナウイルス騒動でのホテルのキャンセル料は無料になるのか。
端的に申し上げると、
・法的には契約通り(〇〇日前までのキャンセル料は◯◯%と言うやつ。)。 ・例外措置として無料キャンセルを受けているホテルは多い。 ・予約サイト経由の場合。 ・京都東山ウィズでは無料キャンセルを受けつけています。
という感じです。
・法的には契約通り
弁護士さんに確認したわけではないですが、法的にはホテルサイドの無料キャンセルを受けなければ行けない義務はないようです。LCCなどの航空券にも多く見られる価格制度ですが、「キャンセルできないけどその変わり安い」というようなプランだと無料キャンセルは難しいかもしれません。
例外措置として無料キャンセルを受けているホテルは多い。
とはいえ、こういう事情ですので、契約の内容にかかわらず事情を説明すると無料キャンセルを受けてくれるホテルも多いようで、twitter上では多くの「無料キャンセル出来た」という報告が上がっています。また、
宇都宮のホテルが前日なのに無料キャンセル対応してくれました。ありがとうございます。LUNASEAは宇都宮に必ず戻ると言ってくれたので、私も今回取った同じホテルに泊まるんだい!!
— むーさん (@onoseonoseonose) February 26, 2020
こういった心優しいツイートも多数上がっており、励まされています。
・予約サイト経由の場合。
一方で、
予約サイト経由だとややこしい。
というツイートも見られます。これは少し事実と違うのでご説明しておきます。
予約サイトがどこでも結局キャンセル料を無料にするかの判断するのはホテル。
今ホテルを予約するのにオンライン予約サイトを使う方は多いと思います。僕らはこれをOTA(Online travel agency)と呼びますが、日本のお客様のご利用が多いのは、楽天トラベル、じゃらん、Booking.comあたりでしょうか。
このOTAと僕らホテルが結んでいる契約の中に結構あるのが、
非常事態が起きた場合には無料キャンセルにしてください。
という条項。今回はこれに該当したため、初期の段階で
「中国からのゲストのキャンセルは無料で受けてください」
という通達がいくつかのOTAから来ました。この場合お客様サイドで困ることはないので特に問題にはならないと思います。
予約サイトで先払いしてしまっている場合。
問題はこのケースだと思いますが、実際のところは予約サイトで先払いをしたかどうかはあまり関係ありません。
今回実際にあったケースですが、
お客様の出発地:韓国 OTA:Booking.com キャンセル料:既に100%の期間に突入済み
で、実際にどういった経緯を辿るかというと、
①お客様がBooking.comに電話。 ②Booking.comがホテルに電話。 ③無料キャンセルを承諾。
となります。ポイントは、
・結局はホテルに聞いてくる。 ・どの予約サイトでも返金機能は必ずついている。
というところですね。ないとは思いますが、
「予約サイトの仕様上返金が出来ないんです。」
と言われたりしたらそれはウソの可能性が高いでしょう。
・京都東山ウィズでは無料キャンセルを受けつけています。
正直申し上げて、ただでさえ競争が激化していた京都のホテルとしては今回の無料キャンセルは滅茶苦茶痛いです。
痛いですが、この状況で契約を盾にキャンセル料を無理に取ったり、またそれをすることで無理に旅行させるようなことが正しいこととは思えないので、無料キャンセルをお受けしています。
痛いですが!(しつこい)
僕自身の経験談
10年ちょっと前、アメリカが今の中国のような状態になりました。鳥インフルエンザ騒動ですね。
この時ちょうど会社の休暇がなんと12連休もあったので、NYにいる友人を訪ねるべく全ての手配を済ませていました。
そんななかで起きた鳥インフルエンザ騒動。政府や会社からの渡航禁止命令はなかったものの、帰国直後に取引先の社長との会食が入っていたこともあり、悩みに悩んだ末に、前日に旅行自体をキャンセルしました。
当然全ての予約はキャンセル料がかかる期間に入っていましたが、飛行機を取っていたJAL、いくつか予約していたホテルは全て
「こういう事情だから今回はキャンセル料を頂きません。」
と言って頂き、旅行中止でがっかりしていた中、優しさに触れて癒やされたのを覚えています。
逆に、
・電話も全くつながらない上に、 ・メールも無視
されたデルタ航空(NYからシカゴに飛ぶ予定でした)にはやはりネガティブな印象を持ってしまっています。
ホテルから皆様へお願い。
せっかくの旅行やイベントがこんなことで中止になってがっかりされていると思います。気持ちは痛いほどわかります。僕らホテル関係者も同じ想いです。
ホテル業界も苦しいところは緊急融資(借金)を受けたりしています。廃業に追い込まれるところも出るでしょう。
そんな中で予約していたホテルが無料キャンセルを受けてくれたのであれば、
次にその場所を訪れる時、是非そのホテルに泊まってあげてください。そしてフロントスタッフでも清掃スタッフでも誰でもいいので、「あの時無料キャンセルしてくれたから、今回ここに来ました」と伝えてあげてください。
それだけで、すごく救われると思います。
重ねてのお願いで申し訳ありません、是非この記事をSNSでシェアしてください。
不安になっている方の助けになったり、踏ん張っている同業者の励みに少しでもなれば嬉しいです。
よろしくお願いいたします。
京都東山ウィズ マネージャー 星 知紀